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「それでも私を愛してくれますか」
第四章 タブー

『それでも私を愛してくれますか』 第四章 タブー -2-

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 随分昔のことをふと思い出した。
「そうだ。一度だけかっこいいって言われたことがあったよ」
「ほら! やっぱり」
 杏子の顔がぱっと明るくなった。
「小学生のとき、同じクラスにいた香織ちゃんって子には、かっこいいって言われたな」
「そうなんだ」
「がっかりした? 小学生のときのことで」
 僕にしてみれば軽い笑い話のつもりだったが、杏子にとってはそうでもなかったらしい。目が輝いている。
「詳しく聞かせて」
 
 香織は、背の順番で言うといつも先頭に位置する小柄な女の子だった。クラスではかわいい女子のグループに所属していたが、それ程目立つ存在でもなかったし、僕には好きな子が別にいた。

「それは彼女に直接言われたんじゃなくて、友達に聞いたんだ。『香織がお前のことをかっこいいって言ってたぞ』って」
「小学生ならよくあるわね」
「そうだろ? 今までそんなこと言われた経験のない俺は有頂天だった。その子を意識して無理にかっこばっかりつけてた気がするな。そしていつの間にか俺もその子を好きになっていた」
 そのときのことを思い出して、自分で可笑しくなった。もちろん、まだ小学生だ。告白をしたわけでもなかったし、二人だけで遊びに行ったり、プレゼントを贈ったりするようなこともなかった。
「しばらくしてバレンタインデーの日が来た」
「それで、それで?」
 杏子は期待に胸を膨らませているといった表情で、話の先をせがんだ。
「放課後になると、女子が好きな男子にこっそりとチョコを渡し始めた。香織ちゃんからチョコを貰えると思っていた俺は、教室に残ってドキドキしながら彼女に呼ばれるのをずっと待っていた」
「ほう、ほう」
「でもいつまで経っても彼女から声が掛かることはなかった。教室に誰もいなくなり、がっかりして帰ろうとしたときに俺が見た光景は……」
「うん、うん」
「じゃあ、続きは来週で」
 突然話を切り上げた僕の腕に、杏子が思い切りしがみついた。
「うそー! 何で! 何で! 話してよ!」
 続きを楽しみにしている彼女の顔がかわいくて、少し意地悪をしてみたくなったのだ。
「冗談だよ。帰ろうとして教室を出ると、香織ちゃんが別の男子にチョコを渡しているのを目撃しちゃったんだ」
「えっ、香織ちゃんは克己が好きじゃなかったの?」
「その時はそうだったのかもしれない」
「その時は?」
 杏子が首を傾げた。
「そう、その時はね。後でわかったんだけど、香織ちゃんは結構気の多い子でさ。好きな男子が何人もいたんだ。一番好きな子はこの子、二番目はこの子……って感じでね。俺は何番目だったのかは知らないけど、バレンタインの日にはもう一番じゃなくなっていたってわけさ」
「そうか……残念だったね」
 杏子の顔は面白がっていた先程までとは違い、少し寂しげだ。
「今となってはいい思い出さ。杏子は子供の頃からよくモテたんだろ?」
「子供の頃」と尋ねたのはいいが、この世界の女の子に「子供の頃」なんてあるのだろうか。
「うーん。どうなんだろう。確かに『好き』って言い寄られることは多かったかな」
 今、降って湧いたような話し方には聞こえない。
「でも……自分の好きな人にはいつもフラれてばかり」
 杏子はペロリと舌を出して笑ったが、すぐ表情に陰が落ちた。
「それだけじゃないのよ。お高くとまってるとか、モテるからっていい気になってるって思われたりして……私は全然そんなつもりはないのに、勝手な想像でそんなふうに言われたりしていたな」

 美人も思ったほど楽じゃないんだな。
 そんなふうに言おうとして慌てて口を噤んだ。それは逆に杏子を傷つけてしまう言葉のような気がしたのだ。
 作られた話にしては妙に真実味があった。以前、聞いた失恋の話といい、やはり彼女にも過去があるのだろうか。いや、きっと誰かが勝手に作り出した設定の一部に違いない。

 今日は杏子の希望で映画を見ることになっていた。
 映画館に飾られている看板やポスター、パンフレットやグッズも実際には三年前に上映された映画のものばかりだった。中には僕が見たことのある映画もあった。いくら何でも有りの『ヘヴンズガール』でも、最新映画のデータまでは入手できないのだろう。
 満席であるにも関わらず、スクリーン正面の真ん中の席を確保することができた。これは『ヘヴンズガール』としてのサービスだろう。
 長い映画予告とコマーシャルを見せられ、ようやくメインの映画が始まった。



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~ Comment ~

 

仮想現実、便利だなあ。家にあるDVDを持って行けば、劇場で見ているかのように見せてくれるサービスがあれば、毎日通うだろう映画ファンの顔がいくつも浮かぶぞ。それこそ、映画館倒産の危機だ。などと考えるわたしが変なのか(^_^;)
  • #3236 ポール・ブリッツ 
  • URL 
  • 2012.08/14 18:13 
  •  ▲EntryTop 

ポール さんへ 

そういうサービスもありかもですね。
記録媒体は自分で用意するわけですから。後は場所だけか。

ただ連続して映画を見せると、女の子にはフラレるかもしれません。汗。
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