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「それでも私を愛してくれますか」
第一章 別れ

『それでも私を愛してくれますか』 第一章 別れ -3-

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 午前十一時。セットしていた携帯電話のアラームが鳴った。
 いつの間にか眠ってしまったようだ。時間という奴は人間の心情は理解してくれない。
 恋人に捨てられたことなど無関係に進んでいき、「早く動け」と僕を急き立てる。時間の催促に従って渋々立ち上がり、洗面所へ向かった。鏡を覗いてみると、目の赤いことがよくわかる。「泣きました」という証を消すため、冷たい水を何度も顔にかけた。

 こういうときに限って、避けては通れない用があったりする。
 友人の結婚式だ。欠席しようかというヤケな考えも浮かんだが、そんなことをしても美由紀は帰ってこないし、何より友人に申し訳ない。ここにいても余計なことばかり考えてしまうだけだと思い直し、支度を済ませて家を出た。

 知らぬ間に美由紀を探している自分に気がついた。
 街角でも、コンビニでも、駅のホームでも、電車の中でも、行き交う人を皆、美由紀の姿に重ねてしまう。
 何を見ても美由紀に繋げてしまう。美由紀の好きな色、美由紀の好きな絵、美由紀の好きな言葉、美由紀の好きな音楽、美由紀の好きな食べ物……彼女の存在が自分にとってどれほど大きなものだったのかが身に染みてわかった。
 今の僕にとっては邪念とも言えるそんな思いを断ち切るため、頭を横に振った。昨日のようにまた涙が止まらなくなっては困る。辛気臭い顔で結婚式に出席するわけにはいかないのだ。

 式場には友人の長谷川と田崎が既に到着していた。美由紀にフラれたことを二人に悟られまいと、僕は平静を装った。いつもなら新婦の友人である女の子たちを冗談半分に品定めするくらいの余裕はあったが、今日ばかりはそんな気になれなかった。
 新郎である友人の名は沢木。沢木は警戒心などという言葉とは無縁で、誰とでもすぐ仲良くなれるタイプだ。どんなときでも笑いを絶やさず、周りを明るくしてくれる。それが彼の魅力だ。
 新婦の顔を見るのは今日が初めてだった。しっかり者で気の強そうな感じがする女性で、時折調子に乗り過ぎる沢木にはちょうどいい相手のような気がした。

 小

「それでは誓いの口づけを」
 神父の言葉を聞き、沢木が新婦の顔を覆う白いベールをそっと上げた。見つめ合って微笑む二人。沢木の唇が彼女の額に優しく触れた。その誓いに偽りなど感じられなかった。沢木は彼女を、彼女は沢木を生涯敬い、慰め、支え、そして愛すべき相手に選んだのだ。
 いつの間にか二人の姿を自分と美由紀に置き換えていた。僕は美由紀を生涯敬い、慰め、支え、そして愛すべき相手に選んだつもりだった。しかし美由紀は僕を選んではくれなかった。そう思うと、切なさでまた胸が締め付けられた。

 披露宴が始まり、沢木の会社の上司や友人代表である長谷川のスピーチが済むと、しばし歓談の時間が訪れた。
 長谷川と田崎は沢木と昔話で盛り上がっていた。落ち込んでいることを見破られぬよう精一杯努めてきたが、自然と僕の体は皆から遠退いていた。
「どうした? 松山。元気ないな?」
 沢木に勘づかれてしまった。
「そっ、そんなことないよ」
 ひょっとしたら僕の顔は引き攣っていたかもしれない。
「嘘つけ。はあ、そうか。さては彼女にフラれたな?」
胸が高鳴った。沢木の言ったことが図星だったため、思わず黙りこんでしまった。笑っていた沢木の顔が曇り始めた。
「おいおい。本当なのか?」
 我に返り、慌てて沢木の言葉を否定した。
「まさか……ちょっと……飲み過ぎただけだよ」
「相変わらず弱いなあ」
 そこでまた笑いが戻ってきた。僕も一緒になって笑ったが、心の中では沈んでいた。
 
 披露宴は進み、クライマックスである両親への記念品の贈呈を迎えた。涙を堪えながら手紙を読む新婦、感極まった表情でそれを聞く両親。その姿を見ていると、目頭が熱くなった。薄暗いのをいいことに僕は涙を流した。しかしそれは感動だけで出たものではなかった。



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~ Comment ~

NoTitle 

うわあ。
こんな気分の時に、友人の結婚式とは、かなり辛いです。
かといって、欠席するのもあれだし・・・。

しかし、松山くん(という名前ですね?)は、本当に美由紀さんが好きだったんですねぇ。
もう、こうなったら日にち薬か、新たな恋。ですよ。

lime さんへ 

さすがに友人の結婚式を欠席するわけには行きませんよね・・・・・・。

はい。松山克己です。
彼がどのようにして癒されていくかはお楽しみにです。
しばらくズルズルとなります。笑。

NoTitle 

ああ、松山さんだって、自分の結婚式に友達を呼ぶはずだったのにね。

自分は相手を選んだ、つもり、だったけれども、
相手は自分を選んではくれなかった・・・なんてことでしょう・・・

もう、暗いことをいい事にまた泣いちゃってくださいよ。

けい さんへ 

> 自分は相手を選んだ、つもり、だったけれども、
> 相手は自分を選んではくれなかった・・・なんてことでしょう・・・

これって結構泣けますよね。
友達と思っていた奴に友達と思われていなかったみたいな……。

私まで切なくなりました。
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