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【  2012年09月  】 

『それでも私を愛してくれますか』 最終章 それでも私を愛してくれますか -11-

最終章 それでも私を愛してくれますか

2012.09.29 (Sat)

 「克己は何もわかってないのね。私はもう生きていないのよ……どんなに克己が愛してくれても未来なんてない。結婚もできないし、子供だって産めない。克己はどんどん歳をとっていくのに、私は永遠に二十七歳のままなのよ」 何も言い返せなかった。僕が以前、杏子に言った言葉をそのまま美由紀に突きつけられている。「私が克己のことを好きかどうかって言ったわよね? もちろん、答えはイエスよ。私は今でも克己が好き。死ぬ寸前ま...全文を読む

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『それでも私を愛してくれますか』 最終章 それでも私を愛してくれますか -10-

最終章 それでも私を愛してくれますか

2012.09.27 (Thu)

  次の日はサービス残業もせずに会社を出て、『ヘヴンズガール』に向かった。猪突猛進男と言われようが構わない。馬鹿正直に生きているだけの男なのだ。それどころか、会社を休まなかったことに対して「よく我慢した」と、自分を褒めてやりたいくらいだった。 自動ドアを抜け、足早にフロントに近づくと、支配人が神妙な顔つきで頭を下げた。「美由紀はどんな様子ですか?」「だいぶ落ち着いたようです」「話せますか?」「はい。...全文を読む

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『それでも私を愛してくれますか』 最終章 それでも私を愛してくれますか -9-

最終章 それでも私を愛してくれますか

2012.09.25 (Tue)

 「美由紀の……いや、彼女たちの脳内データはいったいどういう経緯でここにやってくるのですか?」「御両親の希望です。当店の装置を利用して、亡くなった娘さんと会う場所を提供させていただく代償として、彼女たちには接客の仕事をしていただく契約になっています。システムの維持や管理にはどうしても費用が掛かるため、無償というわけにはいかないのが実情です」 そういう条件なら『性行為は禁止します』というのも当然だ。「し...全文を読む

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『それでも私を愛してくれますか』 最終章 それでも私を愛してくれますか -8-

最終章 それでも私を愛してくれますか

2012.09.23 (Sun)

  エレベーターに乗ると、支配人が上着のポケットから鍵を取り出した。階数ボタンの下にある小さな扉の中に、『B1』と書かれたボタンが隠されていた。つまりこの建物には地下があったのだ。そこに美由紀や他の女の子もいるのだろうか。  地下一階にはいくつかの部屋はあったものの、やはり大人数の女の子たちが待機しているような場所はどこにもなかった。 支配人は一番奥の部屋のドアを開けると、僕に中へ入るよう促した。 ...全文を読む

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『それでも私を愛してくれますか』 最終章 それでも私を愛してくれますか -7-

最終章 それでも私を愛してくれますか

2012.09.21 (Fri)

  周りの景色がぼやけ始めた。レストランの壁、天井、ウェイターや他の客、イス、テーブル、そこに並んだ料理……目に映る全てのものが透けていく。 これはこの世界が消えていくときの現象だ。 美由紀も例外ではなかった。彼女の体が少しずつぼやけていく。「美由紀! 美由紀!」 僕の呼びかけに対し、美由紀は涙を流しながら何かを訴えている。必死にそれを聞き取ろうとしたが、どうしても聞こえない。「美由紀! 美由紀!」 ...全文を読む

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『それでも私を愛してくれますか』 最終章 それでも私を愛してくれますか -6-

最終章 それでも私を愛してくれますか

2012.09.19 (Wed)

 『ラ・ヴィ・アン・ローズ』は二階建ての小さな店だった。料理のコースは数種類用意されており、その中でも最も高級なものを僕は選んだ。 おかげで味は申し分のないものだった。 肉料理の皿が下げられ、デザートであるフルーツケーキが運ばれてきた。フォークを手にした美由紀を僕は止めた。「ちょっと待って」「えっ?」 突然のことに美由紀は何が何だかわからぬ様子だったが、静かにフォークを戻した。 僕はわざとらしく咳払...全文を読む

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『それでも私を愛してくれますか』 最終章 それでも私を愛してくれますか -5-

最終章 それでも私を愛してくれますか

2012.09.17 (Mon)

  白い部屋から景色が変わり、僕は街角に立っていた。右手にはピンクの包装紙に赤いリボンの結ばれた箱。ジャンパーにジーンズだった服装もいつの間にか、ジャケットと綿のパンツという少し洒落たものに変わっていた。コンピュータが気を利かせてくれたらしい。「克己さん」 突然、名前を呼ばれ、慌てて箱を後ろに隠した。「お待たせしました」 美由紀だった。白いジャケット、ピンクのニットに茶色いスカート、そしてブーツ。彼...全文を読む

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『それでも私を愛してくれますか』 最終章 それでも私を愛してくれますか -4-

最終章 それでも私を愛してくれますか

2012.09.15 (Sat)

 「ごゆっくりどうぞ」 恐らく彼はそう言ったのだろう。ぼそぼそと聞き取りにくい声で話すウェイターに「あれでよく客商売が務まるな」と僕は呆れた。仮想の世界だからといって、愛想の良い爽やかな人間ばかりではない。  美由紀はテーブルに置かれたカップを包み込むように両手で持ち、ミルクティーの香りを少し嗅いでから軽く口をつけた。カップをテーブルに戻すと、改まった口調で僕に話し掛けた。「ねえ、克己さん」「何? ...全文を読む

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『それでも私を愛してくれますか』 最終章 それでも私を愛してくれますか -3-

最終章 それでも私を愛してくれますか

2012.09.13 (Thu)

 「俺は彼女のことが大好きだった。上品で頭も良くて、すらっとして綺麗で、でも子供みたいにシャイで、かわいらしい面も持っていて……実はその人とは結婚も考えていたんだ」 僕の話をじっと聞いていた美由紀がいつしか下を向いていた。「美由紀さんに大切な人がいたように、俺にはその人が大切な人だった」 美由紀はまだ黙ったままだ。「その人のためなら何でもできる、何が起きても平気だって思っていた。それなのに、急に好きな...全文を読む

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『それでも私を愛してくれますか』 最終章 それでも私を愛してくれますか -2-

最終章 それでも私を愛してくれますか

2012.09.11 (Tue)

 『海の人気者ショー』を見終えた後、淡水魚のコーナーへ回った。 入口に設置されていた海水生物の泳ぐ大型水槽と同じく、ここには淡水生物のための大型水槽が設置されていた。 その中で特に目を引くのが世界最大の淡水魚の一つと言われるピラルクだった。 南米のアマゾン川流域に住み、大きなものだと四メートルを越える。水族館のものは二、三メートル程度だった。 女性なら「イルカやラッコが好きだ」と言いそうなものだが、...全文を読む

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『それでも私を愛してくれますか』 最終章 それでも私をあいしてくれますか -1-

最終章 それでも私を愛してくれますか

2012.09.09 (Sun)

 「もし良かったら、今度はどこかに遊びに行きませんか?」 そうは言ったものの、再び美由紀に会うことが怖い気もしていた。また「作られた世界」にはまってしまいそうな予感が拭いきれないのだ。 だからと言って、あっさりと「会わない」ほうを選択できるほど、僕は強くなかった。家でも、会社でも、どこへ行っても美由紀のことが頭から離れることがなくなった。またフラれたばかりの頃に逆戻りしてしまったというわけだ。 結局...全文を読む

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『それでも私を愛してくれますか』 第五章 神の悪戯 -7-

第五章 神の悪戯

2012.09.07 (Fri)

  午後七時半には友人たちと別れた。本当はもう少し遅くまで付き合うつもりだったが、頭から美由紀のことが離れなかったのだ。 彼女に電話をしてみるつもりだった。「電波が悪い」というようなことは避けたかったので、マンションに帰ってから掛けることにした。 携帯電話を取り出して、一番大切なことを思い出した。美由紀と連絡を取ることが僕にはもうできないのだ。 美由紀を忘れたくて、登録していた電話番号やメールアドレ...全文を読む

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『それでも私を愛してくれますか』 第五章 神の悪戯 -6-

第五章 神の悪戯

2012.09.05 (Wed)

 「ねえ、克己さん。人は誰でも間違いを起こすものなんです。ただ……大切なのはその後じゃないですか?」「その後?」「うん。間違いを起こした自分を見つめ直して、同じ間違いを繰り返さないようにする。これが大切。自分ばかり責めてたら、居場所がなくなっちゃうし、自分が嫌いになってしまうでしょ?」「美由紀さんは自分が好きなの?」「はい。もちろん、嫌なところもたくさんあるけど……私が私を好きになってあげなかったら誰が...全文を読む

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『それでも私を愛してくれますか』 第五章 神の悪戯 -5-

第五章 神の悪戯

2012.09.03 (Mon)

 「克己さん」と呼ばれたこと、他人行儀な態度、そして会うのが初めてと言われて、僕は自分の置かれている状況をようやく認識した。「うん。初めてだよ。美由紀さんも座って」 美由紀は黙って頷き、後ろに現れた椅子に腰掛けると、遠慮がちに僕に尋ねた。「あの……春日美由紀さんというのは?」 記憶を失っているのだろうか。それとも本当にただのそっくりさんなのか。 僕にはそうは見えない。そこにいるのは春日美由紀以外の誰で...全文を読む

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『それでも私を愛してくれますか』 第五章 神の悪戯 -4-

第五章 神の悪戯

2012.09.01 (Sat)

  久しぶりに訪ねた『ヘヴンズガール』は何一つ変わっていなかった。 自動ドアを潜ると、支配人がわざわざフロントから出てきて、僕を迎えた。「克己様。いらっしゃいませ。また来ていただけて大変嬉しく思います」 相変わらずの低姿勢と前回のこともあってどこか照れ臭かった。僕は緩んだ口元を締め直して、支配人に深々と頭を下げた。「先日はどうもすみませんでした」「いいえ。こちらこそ大変失礼なことばかり申し上げてしま...全文を読む

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