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【  2011年09月  】 

『満月の夜でサヨナラ』 第五章 充実した日々 -1-

第五章 充実した日々

2011.09.30 (Fri)

  20XX年6月30日 ~Woman~ 浅い眠りの中、腰のあたりに気味の悪い生温かさを感じた。「何か」が寄りかかっているような感覚。 目を開けてその「何か」を確認するより、もう少し眠っていたい気持ちや不快な物体を取り除きたい気持ちのほうが強く、手を動かす方へ先に命令がいった。 少し力を入れただけでは「何か」は動かなかった。 グッと力を入れ直して二度目に挑戦してみる。今度はうまくいき、「何か」は体から離れた。 ...全文を読む

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『満月の夜でサヨナラ』 第四章 絆 -4-

第四章 絆

2011.09.28 (Wed)

  実家の食卓に並んだ料理は野菜をふんだんに使ったものばかりだった。一人暮らしの偏食を気遣ってのことだろう。文句は言えない。 二、三ヶ月戻らなかったくらいでは、実家に変化などなかった。口数が少なく控えめな父に対して、自分の言ったことを一人笑う母。子供のころから見慣れた光景だ。それは弥生と入れ替わっても同じはずだ。「あっ、そうそう」 肉団子で口がいっぱいに膨れているにも関わらず、母のおしゃべりは止まら...全文を読む

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『満月の夜でサヨナラ』 第四章 絆 -3-

第四章 絆

2011.09.26 (Mon)

  午後四時過ぎに家を出た。実家へは車で一時間ほどだ。 マンションの入口で、管理人のおばさんに出くわした。勢い良く伸びた植込みのサツキにハサミを入れているところだった。熱心にやっているためか、俺には気付いていない。 俺はこの管理人が苦手だった。できることなら、このまま言葉を交わさず通り過ぎたいのが正直な気持ちだが、やはりそれはよくはないだろう。  仕方なしに「こんにちは」と声を掛けると、ギョロリと大...全文を読む

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『満月の夜でサヨナラ』 第四章 絆 -2-

第四章 絆

2011.09.24 (Sat)

  続けて週記帳を開いてみた。<五月第一週>・吉澤クリニックに行った。診断の結果、『朔望症』と判明した。・もう一人の自分である武彦さんと、どうすればうまく付き合っていけるかを考えてみた。思いついたのはルールを決めることだった。・何か仕事をしなくてはと思い、バイト雑誌やネットで調べてみたが、条件が合わない。来週も引き続き探すつもり。<五月第二週> 今週も仕事は見つからなかった。「一ヶ月しか働けない」と...全文を読む

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『満月の夜でサヨナラ』 第四章 絆 -1-

第四章 絆

2011.09.22 (Thu)

  20XX年5月31日~man~ 激しい雨の音で目が覚めた。 あれほど散らかっていた部屋がまた嘘のように片付けられている。ひと月前と同じだ。 ただし、これは空き巣の仕業ではない。警察が部屋を調べた結果、それらしき指紋は見つからなかった。「一ヶ月の記憶がない」と病院へ行くと、『朔望症』の疑いがあると、世にも不思議な病名を聞かされた。  机の上に目をやってみた。吉澤という若い医者に言われて置いた問診票がなくなっ...全文を読む

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『満月の夜でサヨナラ』 第三章 満月 -3-

第三章 満月

2011.09.20 (Tue)

 「この病院に来ることができたのも同じ理由ですよね?」「そうです。武彦さんが一度ここに来られたことがあるので、あなたは迷わずに済んだ。ただし、いつ、どうして来たのかはわからないはずです」 私が静かに頷くと、吉澤先生も同じように頷いた。「ただ他にも問題はあります。経済的なことや人間関係です」「経済的なことや人間関係?」「ひと月、まあ、正確にはほぼ三十日ですが……、ひと月毎に体が入れ替わるため、定職に就く...全文を読む

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『満月の夜でサヨナラ』 第三章 満月 -2-

第三章 満月

2011.09.18 (Sun)

  『吉澤クリニック』は私の住むマンションから電車で、三駅のところにあった。 白く角ばった二階建てのその建物は、さして珍しくもない、どこでも見かける普通の病院だった。隣接するガレージの駐車台数も五台程度で、それほど大きくはない。診療科目は内科、神経内科、心療内科。 診察を受けた記憶はなくとも、この建物に見覚えはあった。迷うことなく来れたことから考えると、やはり前に来たことがあるんだろうか。  中に入...全文を読む

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『満月の夜でサヨナラ』 第三章 満月 -1-

第三章 満月

2011.09.16 (Fri)

  20XX年5月1日 ~Woman~「まただわ……」 目を開けた瞬間、頭に浮かんだ言葉がそれだった。部屋中に脱ぎ散らかされた衣服、テーブルの上に転がるビールの空缶、スルメの食べ残し。 そして私が身に着けているのは大き過ぎるスウェットとオトコモノの下着。 確か一か月前にも似たような光景を目にした記憶がある。『倉本武彦』が帰ってきたのだろう。 しかし変だ。いくら私がぐっすりと眠っていたとしても、これだけ派手に脱ぎ...全文を読む

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『満月の夜でサヨナラ』 第二章 空白の時間 -3-

第二章 空白の時間

2011.09.14 (Wed)

  送り主は「謎の女性」について、親戚だととっさに返したものの、簡単に見破られてしまった。それに対して『今は事情があって会うことができない』と答えたが、煙に巻いたようなその言い方に、友理の忍耐力は限界を超えたというわけだ。  能天気な考察をしている場合ではない。履歴から友理の電話番号を探して発信ボタンを押した。何も考えずに電話を掛けてみたものの、果たして出てくれるだろうか。 繰り返されるコール音に苛...全文を読む

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『満月の夜でサヨナラ』 第二章 空白の時間 -2-

第二章 空白の時間

2011.09.12 (Mon)

  携帯電話を充電機に接続して電源を入れた。 表示された日付はやはり四月一日。一ヶ月の記憶が丸々飛んでしまったというのか。 アドレス帳を開いて山口課長に電話を掛けた。『もしもし?』 不機嫌な声を聞くと、ブルドックのような彼の顔が頭に浮かんだ。奇妙な懐かしさを覚えた。「倉本です」『倉本? さて、どちらの倉本さんですか?』 恐らく嫌味だろう。遅刻の常習犯である俺はこの男に嫌われている。「倉本武彦です」『...全文を読む

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『満月の夜でサヨナラ』 第二章 空白の時間 -1-

第二章 空白の時間

2011.09.10 (Sat)

  20XX年4月1日 ~man~ 体中が押さえ付けられるような苦しさで目が覚めた。特に辛いのは腰の辺りで、今まで味わったことのない、ギュッと締め付けられるような感覚だ。随分昔に一度だけ経験した金縛りとは違い、体は自由に動く。 パッと目を見開き、上半身を一気に起こすと、ビリっという布の裂ける音がした。視線を巡らせ、破れた場所を探してみる。ベージュのパジャマの左肩だった。「えっ、ベージュ?」 腋の下に嫌な汗が...全文を読む

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『満月の夜でサヨナラ』 第一章 誰かの部屋 -3-

第一章 誰かの部屋

2011.09.08 (Thu)

  モールへ入るとまず服を買いに行った。高価なものは必要ない。安物でも女らしく見えればそれでいい。上着から下着まで適当に選んで買うと、トイレに入ってそのうち一揃えに着替えた。ようやく気持ちが落ち着いた。 シャンプーやボディソープ、歯ブラシといった日用品と食料品を買いに地下の売り場を目指していると、突然、中年の女性に声を掛けられた。「ちょっと、あなた」 少し化粧は派手だが、グレーのスーツを着こなしてお...全文を読む

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『満月の夜でサヨナラ』 第一章 誰かの部屋 -2-

第一章 誰かの部屋

2011.09.06 (Tue)

  テーブルのそばに腰を下ろすと、お腹が鳴いた。目の前に置かれているカレーパンに手を伸ばして賞味期限を確認してみる。『20XX.03.03』  明日までだ。私は遠慮もせずにビニール袋を破ってカレーパンにかじりついた。誰にも文句は言わせない。ここは私の部屋だから……多分。 今日が何日かはちゃんとわかる。 ガスで火をつけることも、電子レンジで冷凍食品を温めることも、レジに並んで買い物をすることもできる。車の運転だっ...全文を読む

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『満月の夜でサヨナラ』 第一章 誰かの部屋 -1-

第一章 誰かの部屋

2011.09.04 (Sun)

  20XX年3月2日 ~Woman~ 眠りから覚めると顔をしかめたくなるような光景を目の当たりにした。 無造作に丸めて放り投げられた白いシャツとブルーのジーンズ。机の上に転がるビールの空き缶、ポテトチップスの食べカス。床にはリモコン、漫画、雑誌……ありとあらゆるものが散らばっていて、足の踏み場もない。 灯りとテレビは昨夜からつけっぱなしだったと思われる。 壁には、髭を生やしたギターを奏でる外国人のポスターが貼...全文を読む

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『満月の夜でサヨナラ』 あらすじ

満月の夜でサヨナラ あらすじ

2011.09.04 (Sun)

 <あらすじ> 20XX年3月2日。 思わず顔をしかめたくなるほど散らかった部屋で目が覚めた私。 テーブルの上にはビールの空き缶、ポテトチップスの食べカス。 アコースティックギターに、車の模型、男物の服、そして免許証に刻まれた『倉本武彦』という名前……ここが自分の部屋であることは間違いない。 ただわからないのは……私が「女」だということ。~目 次~ 第一章 誰かの部屋 第二章 空白の時間 第三章 満月 第四章...全文を読む

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【独り言】次回作のお知らせ

独り言(雑記)

2011.09.02 (Fri)

 『未来が見えたら』のあとがきでチラリとお話させていただいたのですが、 次回作も少し長くなりそうです。 舞台は現代であることに変わりはないのですが、また不思議な力というか現象が起こります。笑。 ダメですよね。私って……超常現象に頼らずにはいられない。 全21作品のうち、8作品で説明のつかない現象が起きています。笑。 まあ、意外と少ないか。 次回作のあらすじです。<タイトル> 『満月の夜でサヨナラ』<あら...全文を読む

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