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【  2011年07月  】 

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『未来が見えたら』 第四章 チカラのワケ -9-

第四章 チカラのワケ

2011.07.31 (Sun)

  梓は待っているのだ。ある言葉を……しかし僕には言えない。逃れられない運命が待っているのだ。彼女を危険に晒すわけにはいかない。「あのさ……」「うん」「俺が鹿児島に転勤になったら、もう今までのように頻繁に会ったりできないと思うんだ」「そうだね」「きっと梓に寂しい思いをさせることになるだろうし……だから……」『一緒に来て欲しい』 それが彼女の望む答えだろう。しかし僕が続けるべき言葉はそれではない。「別れたほう...全文を読む

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『未来が見えたら』 第四章 チカラのワケ -8-

第四章 チカラのワケ

2011.07.29 (Fri)

  出勤するとすぐに課長から声が掛かった。外の喫煙所に付き合ってくれと言われ、僕はそれに従った。 煙草に火をつけた課長は、一息吸った後、あっさりとした軽い口調で言った。「野々村、お前転勤になった」「えっ! 転勤? 今の時期にですか?」「ああ、鹿児島の営業所で急に人が足りなくなったらしい」「かっ、鹿児島……」 随分と遠方に飛ばされるものだと苦笑したものの、すぐあの男の言葉を思い出した。『会社のほうは心配...全文を読む

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『未来が見えたら』 第四章 チカラのワケ -7-

第四章 チカラのワケ

2011.07.27 (Wed)

 「何が……入っていたんですか?」 胸が高鳴っているのは僕も同じだった。編集長は眉間に皺を寄せ、険しい顔で下を向いている。 「死体ですよ」(しっ、死体!) 彼の言葉を繰り返したかったが、声が出なかった。「そこに名前の出ている記者の成瀬とカメラマン、そして情報提供者のX氏の三人のね」 編集長の煙草を持つ手が震えている。ほとんどが灰になってしまい、持っているのはフィルターの部分だけだ。「体を曲げられて、無...全文を読む

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『未来が見えたら』 第四章 チカラのワケ -6-

第四章 チカラのワケ

2011.07.25 (Mon)

 「失礼」 編集長が受話器を取り上げた。会話の途中で僕のほうへ視線を移し、電話の相手には「後で掛け直すと伝えてくれ」と言って受話器を元に戻した。「東さんからの電話だった」「これで信じてもらえましたか?」「……あなたが事前に東さんに電話を頼んだ可能性もある。これだけでは何とも……・」「そうですよね。簡単に信じてもらえるわけありませんよね。僕だってそんな研究があったなんて信じられません。僕が研究について知っ...全文を読む

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『未来が見えたら』 第四章 チカラのワケ -5-

第四章 チカラのワケ

2011.07.23 (Sat)

 『月刊アトランティス』を出版しているA社はそれほど有名ではなく、雑居ビル三階の部屋を二つ借りているだけの小さな会社だった。 ドアを開けて、目の前にあるカウンターに円盤型UFOの模型が飾ってあった。呼び鈴を鳴らすと、中から慌てた様子で二十代前半くらいの女性が出てきた。「こちらの代表者の方はいらっしゃいますか?」「申し訳ございません。社長は今、外出しておりまして。あの、どのようなご用件でしょうか?」「...全文を読む

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『未来が見えたら』 第四章 チカラのワケ -4-

第四章 チカラのワケ

2011.07.21 (Thu)

  あの男の話が徐々に信憑性を帯びてきた。ただ一度でもそういう形で世間に情報が流出したのであれば、それに感化されただけの可能性も考えられる。しかしその場合、僕が予知能力を持っていることをどうやって知ったのかがわからない。「元々マニアックな雑誌だから、それほど大きく取り上げられることはなかったし、世間から見れば、非現実的で笑えるような話だったんで、あっという間に事件は終息へと向かったよ」「でもお前は現...全文を読む

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『未来が見えたら』 第四章 チカラのワケ -3-

第四章 チカラのワケ

2011.07.19 (Tue)

 「ふん。馬鹿馬鹿しい。仮にそれが本当だったとして、どうやって超能力者を育成するんだ?」「薬物投与や電磁波などにより脳に刺激を与える」 それが真実ならば恐ろしいことだ。もちろん、真実ならばだが……。「それで結局、研究はどうなった。能力が開花しなかったのは俺だけなのか?」 男は首を横に振った。「いや、十名全員がこれといった兆候も現れなかった」「完全な失敗じゃないか」 笑わずにはいられなかった。小難しいこ...全文を読む

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『未来が見えたら』 第四章 チカラのワケ -2-

第四章 チカラのワケ

2011.07.17 (Sun)

  駅のホームには人気がほとんどなく、ひっそりと静まり返っていた。日曜日の午後九時前ともなれば、大抵の人間は明日からの仕事に備えて家でゆっくりしている頃だ。 ベンチに腰を下ろして、プロポーズの言葉を探してみた。梓はどちらかと言えば控え目な性格だが、芯はしっかりとしている。回りくどい言い回しより、ハッキリとした言葉を好む気がする。 そう言えば典弘のプロポーズの言葉は何だっただろう。披露宴で公表していた...全文を読む

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『未来が見えたら』 第四章 チカラのワケ -1-

第四章 チカラのワケ

2011.07.15 (Fri)

  朦朧とする意識の中、二人の男たちの会話が聞こえてくる。「どうだ?」 低く脅すような声。「やはりダメです」 それに答えるもう一人の若い男。その声は少し上ずっているように聞こえた。余程差し迫った状況なのだろう。「そうか……では約束どおり今月で打ち切りだな」「そっ、それは……待ってください。もう少し……後一ヵ月で構いません。時間を下さい」 会話をしているのは二人だが、実際には他にも数名、人の気配がする。「無...全文を読む

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『未来が見えたら』 第三章 未来が見えたら -12-

第三章 未来が見えたら

2011.07.13 (Wed)

 「野々村君はどうしたいの?」「どうって・・・・・・」 彼女はどんな答えを期待しているのだろう。「岡田と別れて俺とつき合って欲しい……って言いたいところだけど、遅れてやってきて『俺の彼女になれ』なんて……やっぱり言えないよ」「それならどうして自分の気持ちを口にしたの?」「ある人に教えられたんだ。結果がどうあれ自分の気持ちは伝えるべきだってね」「そう」 再び静かな時間が流れた。梓もどうしていいのかわからないのだ...全文を読む

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『未来が見えたら』 第三章 未来が見えたら -11-

第三章 未来が見えたら

2011.07.11 (Mon)

  背の高い木が並ぶ場所・・・・・・恐らくどこかの公園だろう。 紺色のスーツを着たスラリとした細身の男が立っている。切れ長の目にスッと通った鼻筋に尖った顎、同性の僕から見ても羨ましいほどの二枚目だ。 男は時間を気にしているらしく、しきりに腕時計に目をやる。 そこへ一人の女性が急ぎ足でやってきた。 冴子だった。彼女が緊張した面持ちで自らの気持ちを伝えると、男が優しく笑って答えた。「こんな僕で良ければ」  そ...全文を読む

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『未来が見えたら』 第三章 未来が見えたら -10-

第三章 未来が見えたら

2011.07.09 (Sat)

  いきなりの謝罪に僕は慌てて立ち上がった。「どうしたんですか? 急に……何かあるんですか?」「せっかく来ていただいたのにこんなこと言うなんて本当に失礼なんですけど、私……好きな人がいるんです」 これはまた衝撃の告白だ。僕が真剣に来ていなくて良かったものだ。「じゃあ、どうして?」「いつだったか、母に聞かれたんです。結婚する予定はないのかって。もちろん、予定なんてなかったし、好きな人って言っても……片思いな...全文を読む

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『未来が見えたら』 第三章 未来が見えたら -9-

第三章 未来が見えたら

2011.07.07 (Thu)

  日差しの穏やかな日曜日の午後。 スーツに身を包んだ僕は、助手席に母を乗せて車を走らせていた。「お見合い」へ行くのだ。 梓は岡田と付き合っているし、松本の申し出を断った今、今日の見合いに期待してみるのも悪くはないかもしれない。 相手である小林さんの娘、冴子というのは現在二十八歳。小さな会社で経理事務の仕事をしているそうだ。 今のご時世だと、二十八歳はまだ若い。二、三年先を見据えて、「そろそろ年頃」...全文を読む

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『未来が見えたら』 第三章 未来が見えたら -8-

第三章 未来が見えたら

2011.07.05 (Tue)

  翌日、外出する前に総務部を通って、中の様子を窺ってみた。 総務は田中さんと松本、梓の三人。幸運にも他の二人は席を外しているらしく、梓しかいなかった。「おーい、中山さん」 軽い感じで呼んでみると、梓が僕のほうを向いた。ゆっくりと席を立ち上がってこちらへやってきた。「何か御用?」 声は凍りつくほど冷たい。「俺の代休、後、何回くらい残ってたっけ?」「さあ、五千回くらいかしら」「五千回か……辞めるまでに消...全文を読む

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『未来が見えたら』 第三章 未来が見えたら -7-

第三章 未来が見えたら

2011.07.03 (Sun)

  梓が目を丸くした。それは何に対する驚きだったのだろう。突拍子もない質問に対してか、それとも岡田との交際を僕が知っていたことに対してか。「なんだ。知ってたんだ」 その答えに愕然とした。心の中では「そんなわけないでしょ」と言ってくれることを祈っていたのだ。「どれくらい付き合っているんだ?」「半年くらいかしら」「どっちから?」「彼のほうからよ」「そう・・・・・・」「気がつかなかった?」「うん」 特別二人の仲...全文を読む

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『未来が見えたら』 第三章 未来が見えたら -6-

第三章 未来が見えたら

2011.07.01 (Fri)

 「寝ていたんじゃないのか?」「寝たふりです。こうでもしないと先輩と二人になれないから」 胸の高鳴りが聞こえてくる。僕のものか、それとも彼女のものか・・・・・・。「私、先輩のことがずっと好きだったんです。なかなか言い出せないし、今のままでもいいかなって思っていました」 松本が背中から離れたので、僕は彼女のほうへ向き直った。いつもは賑やかだが、恥ずかしそうに下を向き、自分の気持ちを伝えようとする姿は、普通の...全文を読む

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