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【  2011年04月  】 

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「道連れ」 第八回

道連れ

2011.04.29 (Fri)

  特別な日は終わり、日常が戻ってきた。いつもの時間に目を覚まして制服に着替えた後、食事を済ませて家を出た。 眠そうな顔で「オッス」と手を挙げる和樹。僕にとってそれも日常だった。しかしいつまで経っても、和樹は家から出てこなかった。「遅れるわよ」 僕の様子を家の中から見ていたのだろう。小さな声で言った母の言葉で僕は我に返り、ゆっくりと歩き始めた。 一人で歩く通学路はとても長く感じた。和樹のおしゃべりも...全文を読む

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「道連れ」 第七回

道連れ

2011.04.27 (Wed)

 「サッカーやるけど、一緒にやらないか?」 クラスメイトからの誘いに僕は少しだけ迷ったが、結局は断ることにした。 みんなが白黒のボールに向かって走り、笑ったり、声を張り上げているのを教室の窓から静かに眺めていた。 教室の中では、女子が何人か集まり、好きな芸能人の話で盛り上がっている。反対側の隅では男子が新作のテレビゲームについて話していて、そのうち一人がノートに絵を描いて、皆に攻略法を伝授している。...全文を読む

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「道連れ」 第六回

道連れ

2011.04.25 (Mon)

 「しばらく休むことになったよ」 二十年近く一緒に働いてきた同僚が寂しげにそう言った。毎日、朝から晩まで顔を合わせ、一緒に過ごす時間は家族より彼のほうが長かった。「休む」というのは当然嘘だった。所謂リストラだ。 彼には嫁と二人の子供がいた。「これからどうやって生活していくのだろう」と考えはしたが、人のことを心配している場合ではなかった。明日は我が身。後か先かの違いだった。 俺は小さな会社で、小型金属...全文を読む

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「道連れ」 第五回

道連れ

2011.04.23 (Sat)

 「このクラスで一番ブスって誰だろうな?」 小学校四年生のときだった。クラスの男子と女子が数人ずつ集まって、そんな話をしているのが聞こえた。 誰かが私の名を言うと、「やっぱりな」と皆が笑い出した。 私と仲の良かった女子の一人は「そんなこと言ったらかわいそうよ」と一度は庇ったものの、結局は一緒になって笑い出した。心の中では「ずっと馬鹿にされていたのだ」と知り、泣きたくなった。私は必死に聞こえていない振...全文を読む

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「道連れ」 第四回

道連れ

2011.04.21 (Thu)

  レジャーシートに腰を下ろし、おいしそうに菓子パンをほおばる女を見て男が呆れた。「あんた、ここに死にに来たんだよな?」「そうよ」「これから死のうと思う人間が普通パンなんか持ってくるか?」「いいでしょ。別に」 女が口を尖らせた。「そう言うあんたは何も持ってこなかったの?」 男はシャツの胸ポケットから煙草を取り出してニヤッと笑った。「俺はコイツさ」 女がお返しとばかりに意地悪な口調で言った。「これから...全文を読む

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「道連れ」 第三回

道連れ

2011.04.19 (Tue)

  三時間ほど登ったところで、男と少年は木の幹に両手を付いて下を向いている女の後ろ姿を発見した。二人の気配に気が付いて振り返った女は青い顔をしており、口からよだれを垂らしていた。足元には彼女の体内から出たと思われる吐癪物があり、ほのかに酸味のかかった臭いが漂っていた。 女は鋭い目で二人を睨むと、リュックのポケットからハンカチを取り出して口を拭った。彼女の気迫に押され、少年の足が自然と後ろに進んだ。傾...全文を読む

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「道連れ」 第二回

道連れ

2011.04.17 (Sun)

  少年が振り返ると、無精髭を生やした中年の男が立っていた。色黒でいかめしい顔とは不釣合いで、体はひどく痩せ細っており、少年と同じようにリュックを背負っている。突然のことに少年はひどく慌て、必死で言い訳をした。「いえ……別に……ちょっ、ちょっと覗いていただけです」 男が訝しげな目で少年を見た。「嘘つけ。お前、この山がどんなところか知っていて来たんだろ?」 心の内を読み取られて、少年は黙り込んだ。(連れ戻...全文を読む

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「道連れ」 第一回

道連れ

2011.04.15 (Fri)

  ピピピピッ、ピピピピッ・・・・・・。 午前六時、携帯電話のアラームで少年は目を覚ました。 いや、目を覚ましたという表現は正しくない。実際はほとんど眠っていなかったことを考えると、行動を開始したと言うほうが適切だろう。隣の部屋で眠る両親を起こさぬよう静かに服を着替えると、用意していたリュックを背負って家を出た。食卓の上に書置きをして。 日曜日ということもあり、街はまだ眠っていた。 生まれてわずか十六年だ...全文を読む

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【独り言】次回作のお知らせ

独り言(雑記)

2011.04.13 (Wed)

 『あの日の恋は永遠に』をお読み下さった皆様、誠にありがとうございました。 あの頃の恋っていうのは何とも淡くて切なくて……しかも叶わないからいいんです。 告白して付き合うあるいは失恋してしまう。そうなったらおしまいの気がして。  ドキドキしたり、傷ついたり、相手のことをほんの少し知ることができたらまた楽しくて。「うまくいくかな? いかないかな?」というこの微妙な感覚を行ったり来たりするのがとても心地良...全文を読む

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『あの日の恋は永遠に』 最終回

あの日の恋は永遠に

2011.04.11 (Mon)

  店の予約時間に終わりがやってきた。 そこで会は一度お開きとなり、二次会組と帰り組に分かれた。私は翌日が仕事のため、帰り組に入った。同じ方角へ向かう者たちと連れ立って帰ることになり、その中には上原の姿もあった。  始めは賑やかだった帰り道も、最後は私と上原だけになった。 席が空いているにも関わらず、電車に乗ってからずっと立ったままの私に、上原が「座ったら?」と優しく微笑んだ。彼女の言葉に従い、私は...全文を読む

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『あの日の恋は永遠に』 第四回

あの日の恋は永遠に

2011.04.09 (Sat)

 「上原さんは今、専業主婦?」「そうよ」「子供は?」「男の子が二人」「どんな子?」 すらすらと次の言葉が浮かんでくる。何も変わっていないと思っていたが、彼女の前で頭が真っ白になったあの頃と比べると、少しは大人になったようだ。「上の子はヤンチャ過ぎて困っているし、下の子は大人し過ぎて困っているの。まるで松井君みたい」「俺みたい?」「そう。自分の気持ちは表に出さず、いつも控えめ。それが松井君。うちの子も...全文を読む

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『あの日の恋は永遠に』 第三回

あの日の恋は永遠に

2011.04.07 (Thu)

  同窓会の当日、私が約束の店に辿りついたときには、既に大勢の懐かしい顔ぶれが集まっていた。 あの頃に比べるとすっかり太った者、痩せてしまった者、頭の毛が薄くなり始めた者や髭を蓄えた者、所帯じみて落ち着いた雰囲気を醸し出す者、目立たない存在だったが驚くほど垢抜けた者……それぞれがそれぞれの歳の取り方をしていた。 かく言う私は「あまり変わらないな」と皆に笑われた。 そして上原は驚くほどの美人になっていた...全文を読む

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【独り言】見知らぬ貴方へ

独り言(雑記)

2011.04.06 (Wed)

  作品のタイトルではありません。 昨日から今日にかけて、私の作品を一気に読んで下さった方がいらっしゃいます。 その方へ捧げるメッセージです。 そうです。貴方のことです。 コメントはいただけていませんが、それはそれで結構なんです。「貴重な時間を割いて自分の作品を読んでくれた」ということがとても嬉しいのです。 本当にありがとうございます。 少し前に「ここで作品を公開していることに意味はあるのか」なんて...全文を読む

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『あの日の恋は永遠に』 第二回

あの日の恋は永遠に

2011.04.05 (Tue)

 「松井君って家どこ?」 上ずった声で自分の住む町の名を告げると、「じゃあ、途中まで一緒に帰ろう」と上原は私の返事も聞かず、先に歩き始めた。 もちろん、断る理由なんてない。私は慌てて彼女の後に続いた。 せっかくのチャンスだ。何か話さなくては。「上原さんは部活帰り?」「うん」「吹奏楽部だよね?」「そうよ」 彼女が音楽室でトランペットを吹く姿を何度か見たことがある。「部活はいつまであるの?」「十月の中旬...全文を読む

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『あの日の恋は永遠に』 第一回

あの日の恋は永遠に

2011.04.03 (Sun)

  中学校三年生の同窓会の案内が実家に届いた。 結婚して隣の市に引っ越した私は、母からの電話でそれを知った。 受け取ったハガキには場所と日時、出欠の確認が記されていた。幹事はクラスでもひと際目立つ存在だった北村健吾と坂井宏美の二人。 私は中学から大学を卒業するまでを地元で暮らしていたが、親しい友達を除けば、卒業後に顔を合わせた同級生はごく僅か。十五年も経てば、皆、随分と変わっていることだろう。会って...全文を読む

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【独り言】次回作のお知らせ

独り言(雑記)

2011.04.01 (Fri)

 次回作のお知らせです。作品を書く上で読者の年齢層なんていうのはあまり考えないものなんですが、今回は中学生時代を懐かしむ三十代くらいの方に捧げたいです。もちろん、どなたでも楽しめる作品にはしているつもりですが、「特に」ですね。タイトルは『あの日の恋は永遠に』「恋」って文字が入ってますけど、恋愛というほど恋愛でもありません。書きすぎてもつまらないので、どんな話かは読者様のご期待と想像にお任せしておきま...全文を読む

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