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【  2011年03月  】 

『君と出会う前に』 最終回

忙しい人たちへ(掌編集)

2011.03.30 (Wed)

  赤ん坊の泣く声が聞こえた。「産まれた」 母が声を上げると、無意識に僕はベンチから立ち上がっていた。全員の顔が分娩室の方を向いた。 鼓動が速くなる。どこか息苦しくて、気分も落ち着かない。  どんな顔で会えばいいのだろう?   笑っていれば、娘を怖がらせないだろうか。 なんと声を掛けてやればいいのだろう?「頑張ったね」だろうか、それとも「僕がパパだぞ」だろうか。 もし「抱いてやってくれ」と言われたら...全文を読む

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『君と出会う前に』 第二回

忙しい人たちへ(掌編集)

2011.03.28 (Mon)

  騒いでいた両親たちが急に大人しくなった。四人の視線の先に目をやると、赤ん坊を抱えた女性の看護師が歩いて来るのが見えた。 赤ん坊に「僕を笑わせて」と頼まれたわけでもないのに、四人はそれぞれとっておきの面白顔を披露している。  どれも今一つだったのか、赤ん坊は笑わず、大人たちをじっと見ているだけだった。 看護師が僕の前を通り、赤ん坊の小さな目が僕を捉えた。僕と赤ん坊はしばらく見つめ合っていたが、僕の...全文を読む

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『君と出会う前に』 第一回

忙しい人たちへ(掌編集)

2011.03.26 (Sat)

  結婚して三年。未だに妻の美里に話していないことがある。 もちろん、違う女と浮気しているとか、多額の借金があるとか、ましてや人を殺めたことがあるというような類ではない。  他人からすれば「そういう人も多いよ」で済んでしまうことか知れない。 しかし美里にとっては違う。もし結婚する前にそのことを話していれば、ひょっとしたら彼女は僕との結婚をやめた可能性も考えられる。  それほど美里にとっては重要なこと...全文を読む

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【独り言】本当に寂しいです。

独り言(雑記)

2011.03.24 (Thu)

 最近、ふと思うんですよね。ここで作品を公開していることに意味はあるのかって。昔に比べると、読みに来てくれる人もぐっと減ってしまいましたし、コメントをくれる人もごく僅か。リンクしている人は次々と更新が止まってしまい、続けている人はほとんどいません。なぜでしょうね。私の周りには人が集まりません。ここだけじゃありません。他のサイトでも同じです。こちらが一生懸命歩み寄っても、相手は歩み寄ってきてくれません...全文を読む

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「遠くの隣人」 あとがき

遠くの隣人

2011.03.21 (Mon)

  もう随分と昔、イスラエルの女性が私の近所にある女子高に留学に来ているという話をテレビで見ました。 彼女は勉強だけでなく、遊びも存分に楽しんでいる様子でしたが、帰国する際、皆にこう話しました。「私の国では毎日のように銃声が聞こえたり、夜になると電気を消して真っ暗な中で生活したり、大好きな友達が突然亡くなったりする。日本のように平和で幸せな場所があるなんて思ってもみなかった。まるで夢の国のようです」...全文を読む

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「遠くの隣人」 最終回

遠くの隣人

2011.03.20 (Sun)

  数日後の夜、夕食を終えて部屋でテレビを見ていると、ベランダから私を呼ぶ声が聞こえた。慌てて出てみると、星川が神妙な顔つきで立っていた。「お別れのときです。もうすぐ迎えが来ます」 先日の釣りで気持ちの整理はできたつもりだったが、いざこの時と向き合うとまた寂しさが込み上げてきた。「そうですか……寂しくなりますね」 星川も少しだけ笑った。彼の表情もまた寂しげだ。「来ました」 星川が空を見上げたので、私も...全文を読む

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「遠くの隣人」 第四回

遠くの隣人

2011.03.18 (Fri)

  腹が膨れると、星川が私に向かって頭を下げた。「あなたのおかげで最後にとても良い思い出ができました。本当にありがとう」「よして下さい。それ程大したことをしたわけではないんですから」 彼の改まった態度に私は急に照れ臭くなり、それを隠したくて自然と早口になっていた。「ただ……何もなしでサヨナラというのが嫌だっただけです」「やっぱりあなたはいい人ですね」 彼の褒め言葉に居たたまれなくなった私は周囲へと視線...全文を読む

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「遠くの隣人」 第三回

遠くの隣人

2011.03.16 (Wed)

  それからしばらくの間、星川と顔を合わせることはなかった。 私は大きな企画のメンバーに加わることになり、連日、仕事に追われていた。 マンションには寝るために帰っているような状態で、わざわざベランダに出て煙草を吸うような気分にはならなかった。  一ヶ月後、企画は次への課題をいくつかは残したものの、とりあえずは成功に終わった。       ようやく忙しさから解放されて、が久しぶりにベランダへ出ると、星...全文を読む

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「遠くの隣人」 第二回

遠くの隣人

2011.03.14 (Mon)

  久しぶりに実家に帰り、リンゴを土産にもらった。せっかくなので星川にもいくつかおすそ分けすることにした。「これはおいしそうですね」 星川は受け取った真っ赤なリンゴをぐるぐると回しながらいろいろな角度から見つめた。「青森のものなので味は間違いないと思いますよ」「それは楽しみだ」 星川はそっと微笑んだ後、不思議そうに首を傾げた。「でも実家はすぐそこではなかったですか?」「あっ、いえ。リンゴ自体はスーパ...全文を読む

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「遠くの隣人」 第一回

遠くの隣人

2011.03.09 (Wed)

  長い間、空き家だった隣の部屋に新しく人が引っ越してきた。私と同じ三十代前半くらいの男性で、『星川』と名乗った。近隣挨拶などしない者も多い今時にしては珍しく、きっちりと菓子を持って挨拶に来た。 しかしそれ以降、しばらく顔を合わせることはなかった。 お互い独身で、仕事に就いているのだから、当然のことかもしれない。ライフスタイルが違えば、次に会うのは「どちらかが引っ越すとき」なんてことも充分考えられる...全文を読む

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【独り言】次回作のお知らせ

独り言(雑記)

2011.03.07 (Mon)

  次回作のお知らせです。『重要な選択』は長編で少々過激なものでしたが、また短編の優しいお話をやろうと思っています。 そんなに長くはならないと思いますし、復帰から飛ばし過ぎたので公開ペースを少し落とそうかと思います。 一度公開し始めると、楽しくて次々に公開してしまいたくなるんですよね。笑。 タイトルは『遠くの隣人』<あらすじ> 長い間、空き家だった隣の部屋に新しく人が引っ越してきた。 挨拶を交わした...全文を読む

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『重要な選択』 あとがき

最終章 重要な選択

2011.03.06 (Sun)

  あとがきです。 この作品を書いたのは十年前のこと。自分自身、就職活動に悩み、悶々とした毎日を送って書いたものです。 要するに欲求不満の捌け口だった気がします。 今回、リメイクということですが、加筆・修正を加えるのはこれが二度目です。 初めて公募にも出したこの作品を、ネット上に公開したのはFC2小説ですが、その時は手を加えずそのまま公開しました。 しばらくして、読み返してようやく気がつきました。「...全文を読む

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『重要な選択』 最終章 重要な選択 -結-

最終章 重要な選択

2011.03.05 (Sat)

 「じいさん、今わかったよ。僕は間違っていた。よく言うよな、大切なものは失ってから初めて気がつくって……」 確かに就職活動はうまくいかなかったし、かわいい恋人もいなかった。好き勝手使えるような金も持っていなかったし、親父を亡くした悲しみもあった。 それでも近いうちに大学を卒業することになっていたし、馬鹿なことで一緒に笑い合える友達がいた。バイト仲間の千鶴に密かに恋心を抱いていたし、少しずつ上達していく...全文を読む

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『重要な選択』 最終章 重要な選択 -10-

最終章 重要な選択

2011.03.04 (Fri)

 「Bには仕事があるし、上司や同僚からの信頼も厚い。金だって持っている。かわいい婚約者はいるし、親父も死んじゃいない。羨んで当然だろう?」「自分ばかりが不幸だと思うな!」 老人が声を荒げた。予想外のことに少し体が怯んだ。「お前より不幸な奴は腐るほどいる。いや、お前など不幸な人間のうちに入りはせん。単なる甘えだ。お前は現状を打破しようと少しでも努力したのか!」 老人のわかったような口調に僕は激しい憤り...全文を読む

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『重要な選択』 最終章 重要な選択 -9-

最終章 重要な選択

2011.03.02 (Wed)

  警察の取調室に入るのはもちろん、初めてのことだった。ドラマや映画で目にすることはあっても、自分がその空間へ足を踏み入れるなんて、一度も想像したことがなかった。 佐々木が大声で何度も同じ質問を繰り返したが、僕の頭の中には「カツ丼はいつ出てくるのか」と能天気な考えしかなかった。「いいかげんにしろ! お前の本当の名前を言えと言ってるんだ」「だからさっきから何度も言っているでしょう。僕は山崎晴信だって!...全文を読む

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『重要な選択』 最終章 重要な選択 -8-

最終章 重要な選択

2011.03.02 (Wed)

  それから六日後、浅井と佐々木は再び真奈美を尋ねた。 話を始めるのはいつも佐々木と決まっている。「あれから田中孝さんについて調べましたが、K大学のどの学部にもそんな生徒はいないのです。もちろん、同じ名前の学生は何人かいましたけどね」「えっ?」「全国の市役所にも問い合わせてみましたが、それに該当する者はいません。年齢などから考えて近い人物はいましたが、顔は全然違いました」 真奈美は妙な胸騒ぎがした。...全文を読む

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『重要な選択』 最終章 重要な選択 -7-

最終章 重要な選択

2011.03.01 (Tue)

 山崎の住むマンションは彼の実家から、車で三十分ほどのところだった。 例によって、佐々木がチャイムを鳴らした。「はい」と返事が聞こえた後、若い女が出てきた。見たところ派手ではないが、明るい性格がその顔に滲み出ている。「どうも。こちらは山崎晴信さんのお宅でしょうか?」「そうです。でも本人は今いませんよ。仕事に出ています」 やはり人違いか。浅井と佐々木はまた顔を見合わせた。佐々木は帰ろうとしたが、浅井は...全文を読む

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