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【  2010年10月  】 

『ターゲット』 第八話 オンリーユー -1-

第八話 オンリーユー

2010.10.31 (Sun)

  階段状に並べられた机の一番後ろの列、そして最も入口に近い席に、ある男子学生と女子学生が並んですわっていた。男が少し寂しげに女に言った。「今日は何か冷たいね……」「そう? そんなことないと思うけど」「嘘。もっと何かしゃべってよ」「別にしゃべることもないし……」「今日は赤木は来てないのかな?」「さあ、知らない」 熱心に話しかける男を女はことごとく冷たくあしらった。挙句の果てにポータブルのMDプレイヤーを...全文を読む

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『ターゲット』 第七話 頂きを夢見る男 -FIN-

第七話 頂きを夢見る男

2010.10.29 (Fri)

  数日後、下村は社長室に呼ばれた。 世界的な一流企業であるK電気の社長、清島大治。 大抵の社員は入社式でその顔を見るのが最後、それ以降はテレビや新聞でしかお目にかかれない。言わば雲の上の存在である。 その清島が直々に自分を呼んでいる。間違いなく、本社課長就任の知らせだと下村は上機嫌だった。しかし下村にとってはこれは出世階段の登り始めだった。 彼の目指すのは「頂き」だった。「そのうち清島の隣に座って...全文を読む

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『ターゲット』 第七話 頂きを夢見る男 -5-

第七話 頂きを夢見る男

2010.10.27 (Wed)

  株式会社K電気本社 営業部長である川崎は自分の部屋で爪を切っていた。彼は仕事の大半を部下に任せ、自分は部屋でのんびりとしていた。 内線電話が鳴ったが、すぐには取らなかった。暇だと思われては困るからである。四コール目で受話器を上げた。「川崎です」「部長。二番に山本さんという方からお電話です」「山本? どこの?」「それが……急用なので、とにかく代わってくれと言うのです」 電話の応対もろくにできんのかと...全文を読む

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『ターゲット』 第七話 頂きを夢見る男 -4-

第七話 頂きを夢見る男

2010.10.26 (Tue)

  サングラスの男は金髪男をトイレの中に連れて行き、壁に向かってその背中を押し付けた。金髪男は必死で首を横に振る。「本当に俺はあんたなんか知らない。人違いだ」 サングラスの男はそれを無視した。「誰に頼まれた?」「何のことだ?」「あの男を殺せと誰に頼まれた?」「わけがわからねえよ。何のこと言ってるのかさっぱりだ」 サングラスの男は胸ポケットから煙草を取り出し、口に咥えた。「俺はお前が雇われた組織と対立...全文を読む

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『ターゲット』 第七話 頂きを夢見る男 -3-

第七話 頂きを夢見る男

2010.10.24 (Sun)

  日曜日の昼下がり、下村は喫茶店でコーヒーをすすっていた。誰かを待っているのか、何度も腕時計に目をやった。高野は少し離れた席からその様子を見ていた。 やがて二十代後半くらいの女が店に入ってきて、下村のそばへ寄った。身なりが良いせいか落ち着いて見える。 席に着く前に一礼をして座る辺りなど、非常に上品で育ちの良さも窺い知れる。  女が紅茶を注文した後、二人は談笑を始めた。 「今度本社の課長になるんです...全文を読む

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『ターゲット』 第七話 頂きを夢見る男 -2-

第七話 頂きを夢見る男

2010.10.22 (Fri)

 「ところが今回の交代劇、裏で下村が動いているようなのです」 一流企業になればなるほどこういう裏工作があるらしい。「どういうことですか?」「亡くなった野上課長ですが……実は自殺だったのです」「その方の自殺と下村が関係あるというのですか?」「もちろん、自殺に見せかけて……というようなことではありません。ただ彼をそこまで追い込んだのは下村と 本社の部長である川崎という噂です」「それは下村を本社の課長にするた...全文を読む

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『ターゲット』 第七話 頂きを夢見る男 -1-

第七話 頂きを夢見る男

2010.10.20 (Wed)

  二ヶ月前、ある資産家の妻とその息子二人が殺害される事件が起きた。 昨晩、逃亡を続けていたもう一人の息子が容疑者として逮捕された。殺害の動機は亡くなった父の遺産の配分に納得がいかなかったから。  金の力にはぞっとさせられることすらある。 金は物の価値をだけではなく、人の価値まで決める。 金を持つ奴は楽をして暮らせる。挑戦できる可能性が広がる。欲しいものはいくらでも手に入る。やりたくないことは他人に...全文を読む

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『ターゲット』 第六話 乙女心の傷 -FIN-

第六話 乙女心の傷

2010.10.18 (Mon)

 「娘から電話で結婚するって聞いたんでな。慌てて飛んで来たんだよ」 目の前の男は気分が最高潮らしく、豪快に笑う。「こんな商売だから嫁の貰い手なんてないって心配していたんだが、安心したよ。跡継ぎの問題も解決だ」 自分の予想もしない方向に話が向いていることに林は慌てた。「誤解です。私は娘さんと結婚するなんて……」  林の言葉を聞いた途端、男が急に静かになった。「すると何か? あんた、結婚する気もないのにう...全文を読む

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『ターゲット』 第六話 乙女心の傷 -6-

第六話 乙女心の傷

2010.10.16 (Sat)

  林に対して女はすっかり気を許したらしく、身の上をペラペラと話し始めた。これまでも男には散々嫌な目に合わされて来たらしく、林にとっては格好の獲物だった。 三時間ほど飲んだ後、二人は店を出た。 突然、女が気分が悪いと言い出した。「どこか休めるところを御存じありませんか?」 そこはホテル街の真ん中だった。林には「初日は手を出さない」というルールがあった。これを破らないことが詐欺成功の秘訣だった。「私は...全文を読む

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『ターゲット』 第六話 乙女心の傷 -5-

第六話 乙女心の傷

2010.10.14 (Thu)

  林は働きもせず、毎日ぶらぶらしていた。家族にはばれぬよう、朝はきっちりとスーツを着て家を出て、晩になると疲れたような顔で帰宅する。 月に一度は自分で作成した給料明細と女から騙し取った金を茶色の封筒に入れて妻に渡す。妻は何一つ疑う様子もなく、それを受け取る。 林のやり方はこうだ。 まず二十代後半から三十代前半の独身の女を探す。この年齢層は最も結婚願望が高いからだ。それ以上になると、願望はあっても妙...全文を読む

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『ターゲット』 第六話 乙女心の傷 -4-

第六話 乙女心の傷

2010.10.12 (Tue)

 「御両親はこのことを知ってるんですか?」 上岡が激しく頭を振った。「言えるわけありませんよ。結婚を何より楽しみにしてましたから……私はあんな男のことはもうどうでもいいんです。ただお金は返して欲しいんです! 私が行っても多分返してもらえません。だからお願いします」 上岡は深々と頭を下げ、鼻をすすり始めた。泣いているようだった。乙女心を弄ばれたことが悔しくて仕方がないのだ。 高野には彼女の気持ちがよくわ...全文を読む

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『ターゲット』 第六話 乙女心の傷 -3-

第六話 乙女心の傷

2010.10.08 (Fri)

 「結婚のためにお金を貯めているので、それを切り崩せば何とかなると……」 なるほど、うまいやり方だ。高野は相手の男に感心した。ここで金を使えば、結婚が延びると彼女に匂わせたのだろう。「それに……将来の君の母でもあるんだと言われてしまい……」 確かに上岡の立場なら、そう言われると断りにくい気がした。「結局、貸してしまったのですね」「必ず返すと言っていましたし、それに……私は彼を疑いたくなかったんです」 上岡は...全文を読む

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『ターゲット』 第六話 乙女心の傷 -2-

第六話 乙女心の傷

2010.10.06 (Wed)

  お馴染みの喫茶店、『ボンジュール』。 高野は井上という名で、依頼人の上岡智子を待っていた。 平日の昼時とあり、スーツを着た会社員や制服姿のOLがやたら多い。 そのうちの一人が高野に声を掛けてきた。目鼻立ちが整っていてとても美人だった。「あの、井上さんですか?」「そうです」「上岡です」 高野の自己紹介後、上岡が話を始めた。 「私、今年で二十九歳になるんですけど、未だに独身なんです」「別に珍しいこと...全文を読む

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『ターゲット』 第六話 乙女心の傷 -1-

第六話 乙女心の傷

2010.10.04 (Mon)

  春休みがやってきた。 高野も四月からは三年生である。彼の通う大学は三年生まで留年はないため、のんびりと成績表が来るのを待つのみだ。 高野のマンションに平山と大沢が遊びに来ていた。一人暮らしの部屋というのは溜まり場に抜擢されやすい。高野も一人でいても仕方がないので、この二人の訪問を歓迎している。 平山は床に転がり熱心に漫画を読んでいた。大沢は不器用なりに必死でギターを弾いている。 高野はテレビを見...全文を読む

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