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【  2010年06月  】 

『お礼参り』 第三回

お礼参り

2010.06.30 (Wed)

  村田は俺に親近感を抱いたようで、まるで友達のように話しかけてくるようになった。そのことを「教師に向かって」とか「生徒のくせに」と、頭に来るようなことはなかった。 むしろそういう奴が俺は好きだった。 だからと言って、村田のスタイルが変わったわけではなかったが、担任でもない俺があまり出しゃばるわけにもいかず、特に注意も指導もしなかった。 そんな俺にも村田から恨みを買う心当たりが一つだけある。 村田と...全文を読む

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『お礼参り』 第二回

お礼参り

2010.06.29 (Tue)

  今年転任してきた俺が、村田と初めて言葉を交わしたのは五月頃だった。二時間目の授業中に遅れてやってきた村田と校門で出くわしたのだ。 目が合っても村田は挨拶もせず、俺の横を通り過ぎようとした。「村田か?」 顔も知らぬ俺が名前を知っていたのが意外だったのか、村田が足を止めた。「あんた誰?」「俺は四月から転任してきた武部ってもんだ。体育を担当している」「ふーん」 俺の自己紹介には興味がないようだった。「...全文を読む

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『お礼参り』 第一回

お礼参り

2010.06.27 (Sun)

  一人の男が背広をどろどろに汚され、地面に這いつくばり泣いていた。 俺を縛りつけ、脅し、時には暴力を振るったその男を叩きのめす日を、俺は待っていた。 そしてようやくその望みが叶った。それなのに、満足や爽快感はなく、何とも言えない不快な気持ちが俺の心を支配していた。 「お礼参り?」 社会担当の女性教師、秋山の言葉を教頭が繰り返した。「お礼参りって、あの卒業式の日に恨みを持つ先生に仕返しをするやつです...全文を読む

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【独り言】時間が足りない・・・・・・

独り言(雑記)

2010.06.25 (Fri)

   時間が足りず、連載は愚か、雑談すら書けていませんね。苦笑。 仕事から帰ると、午後11時前後・・・・・・。   休みの日は携帯電話の買い替えやら、カミさんの実家でご両親との食事に呼ばれたり、 父の日のプレゼントのために私の実家に行ったり・・・・・・。  教師と生徒シリーズの第二部はもうじき公開できます。 もうちょっとだけお待ちいただければと・・・・・・・。 よろしくお願いします。   ...全文を読む

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『大切な預かりもの』 最終回

大切な預かりもの

2010.06.18 (Fri)

  蓋を開けて、イヤリングを見せると、高橋は両手で口を覆って目を丸くした。「先生……それをずっと持っていたんですか?」「うん」「どうして?」 私はあの時の自分の気持ちを正直に話した。新任で周りからのプレッシャーを感じていたこと、自分の立場を守りたかったこと……。 高橋は静かに頷きながら私の話を聞いてくれた。「卒業式の日に、君の悲しげな顔を見て気が付いたんだ。生徒の心を理解するところから生活指導は始まるん...全文を読む

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『大切な預かりもの』 第十一回

大切な預かりもの

2010.06.17 (Thu)

 「真希、お客さんだよ」 遼の声が玄関に響き渡った。再び胸が高鳴り始めた。待ち焦がれた人に会う、恋にも似たような感覚。 奥の部屋へと続く扉のガラスにシルエットが映し出され、静かにドアを開いた。かつてのようなあどけなさはなくなり、すっかり大人の女性になった高橋が姿を現した。「ご無沙汰しております」と頭を下げる彼女は、随分と落ち着いていたが、その後に見せた微笑みはあの頃と変わっていなかった。彼女の足にし...全文を読む

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『大切な預かりもの』 第十回

大切な預かりもの

2010.06.16 (Wed)

 「最悪の思い出しかないからこそ、会うべきですよ」 青年が笑顔を見せる。彼には怒ることがあるのかを知りたかった。「今のままじゃ、ずっと嫌な先生のままですよ。先生の気持ちを正直に彼女に伝えてみてはいかがですか? 例えば、あの時は周りからの評価を気にしていたとか、特別扱いができなかったとか、そして今までどんな気持ちで過ごしてきたかとか」「しかし……」「彼女だってもう子供じゃないんです。わかってくれるんじゃ...全文を読む

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『大切な預かりもの』 第九回

大切な預かりもの

2010.06.15 (Tue)

 「このイヤリングを彼女に返さない限り、教師としての務めが終わらない気がしたのです」「なるほど、そういうことですか」 青年は退屈した様子を見せることなく、私の長い話を聞いてくれた。「彼女の実家を尋ねたところ、すでに結婚して家を出ているということだったので、今の住所を教えてもらったのです」「先生が尋ねることを彼女は知っているのですか?」「ええ。お母様が連絡をして下さっているとのことです」「そうですか。...全文を読む

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『大切な預かりもの』 第八回

大切な預かりもの

2010.06.14 (Mon)

  生徒も教師もいなくなった学校の焼却炉で、私は一人、没収されたものを処分していた。 まだ使えるものを焼いてしまうのは、正直気分が良いものではなかった。 ダンボールに手を入れ、無作為に中身の一つを取り出してみた。 マンガ雑誌だった。六月頃、二年生の一人から没収したものだった。箱に入れてあったこともあり、日焼けすることもなく、綺麗な状態だった。この漫画はどこまで持ち主の目に触れたのだろう。 次に手にし...全文を読む

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『大切な預かりもの』 第七回

大切な預かりもの

2010.06.13 (Sun)

  卒業式がやってきた。三年生の中に没収された物を取りに来る者はいなかった。 高橋も例外ではなかった。あれほど熱心に返してくれと頼みに来ていたのに、彼女にとってはもう価値のないものになってしまったのだろうか。 式が終わると、教師たちが校門の前に並び、生徒たちを見送ることになっていた。 皆世話になった教師に声を掛けたり、笑いかけたり、中には涙を浮かべている者もいた。  女子生徒数名の集まりに高橋の姿を...全文を読む

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『大切な預かりもの』 第六回

大切な預かりもの

2010.06.12 (Sat)

  ところが次の日の放課後も、高橋は私のところへやってきて、「イヤリングを返して下さい」と頭を下げた。「来るだけ無駄だぞ」「やっぱりダメですか?」「ダメだ」 私が冷たくあしらうと、高橋はもう一度頭を下げて、職員室から出ていった。嫌な予感がした。 次の日もまた次の日も高橋はやってきた。私の予感は的中した。 ただ、初日のように、しつこく食い下がるようなことはなく、「ダメだ」と言えば、あっさりと引き下がっ...全文を読む

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『大切な預かりもの』 第五回

大切な預かりもの

2010.06.11 (Fri)

  放課後、高橋がイヤリングを返してくれるようにと、私のところにやってきた。彼氏の付き添いはなかった。「卒業まで預かっておくと言っただろう」「もう学校には絶対にして来ないって約束しますから」「それは当り前だ。とにかく決まりは決まりだ。これを見ろ」 私は自分の机の下からダンボール箱を引っ張り出し、中身を高橋に見せた。高橋が顔をしかめた。「返すのは、全部年度の終わり、三月と俺は決めている」「じゃあ、先生...全文を読む

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『大切な預かりもの』 第四回

大切な預かりもの

2010.06.10 (Thu)

 「着いたら外す? それでも校則違反であることに変わりはない。校則っていうのは学校の中だけで守れば良いもんじゃない」 私の言ったことが正しいとわかったのだろう。高橋は黙りこみ、下を向いた。両手がゆっくりと耳から離れた。「さあ、渡しなさい」 私が右手を差し出すと、高橋は悲しそうな目で「やっぱりダメ?」ともう一度訴えた。「ダメだ。ほら早く」 高橋は渋々といった感じでイヤリングを外して、私の掌に乗せた。「...全文を読む

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『大切な預かりもの』 第三回

大切な預かりもの

2010.06.09 (Wed)

 「皆さん、どうもありがとうございました」 職員室の朝礼で別れの挨拶を終えた私に、仲間の教師たちが温かい拍手を送ってくれた。 大学を卒業してすぐに教師になり、途中で投げ出すこともなく、定年迎えられたことを私は誇りに思っていた。 最後の中学校に籍を置いて十五年。机の上には整理しなくてはならないものがたくさんあった。書類や文房具、小物を順に手に取り、必要なものと不要なものに分別していった。中には懐かしい...全文を読む

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『大切な預かりもの』 第二回

大切な預かりもの

2010.06.07 (Mon)

 「初めて来るところなので、どのくらい時間がかかるのかも曖昧なんですよ。歩いていける距離ですか?」「その足で行くには遠いかもしれませんね」「そうですか……やはり日を改めるしかなさそうですね。駅までならどうにか歩けそうですし」 メモを返してもらおうと手を差し出したが、青年の口から思わぬ言葉が出た。「もし良ければ、この住所のところまで送りますよ」 私にとっては嬉しい申し出だったが、丁重に断ることにした。「...全文を読む

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『大切な預かりもの』 第一回

大切な預かりもの

2010.06.06 (Sun)

  運転席の青年に気付かれぬようそっと後部座席を確認してみると、茶色の大きなクマのぬいぐるみが座っていた。「娘のものです」 青年はにっこりと笑った。「すみません。少し気になったものですから……」「構いませんよ」 気付かれてしまったことが恥ずかしくなり、私は頭を掻いた。「寒くはないですか?」「大丈夫です」 見ず知らずの私にこれ程気を使ってくれるなんて、彼は本当に優しい人間なんだろう。 そもそも車の助手席...全文を読む

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【独り言】公募作品完成!

独り言(雑記)

2010.06.05 (Sat)

  ようやく公募作品が完成致しました。 原稿用紙に換算すると、八十枚程度の短い作品なんですが、 読んでは修正、読んでは修正を五回ほどしました。  それにしても梗概は難しいですね。 いくら短篇とはいえ、原稿用紙1~2枚に話をまとめなくてはならないというのは苦労しました。 ちょっと余計なことを書くとすぐに文字数オーバーになります。 書かなさ過ぎても、わけがわからないし。 結構文章力がないと書けませんね。...全文を読む

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