更新履歴

さわりを読む▼をクリックすると更新された内容の冒頭部分がご覧になれますので、久しぶりのご訪問の方は
こちらで未読・既読のご確認ができます

日付別の更新チェックはカレンダーの日付をクリック ▼

【  2010年01月  】 

『じいちゃんと皇帝鯉』 第九回

じいちゃんと皇帝鯉

2010.01.31 (Sun)

  網の位置を横目で確認した。周りには手伝ってくれる者はいない。私は一人でその巨大な生き物を網に入れなくてはならなかった。右手はしっかりと竿を持ち、ゆっくりとしゃがみながら網に左手を伸ばした。 そこでまた皇帝が走り始めた。私は慌てて両手で竿を持ち直した。  まだ勝負は付いていなかった。 皇帝の動きが先ほどまでとは違っていた。突然動きを止め、底へ向かって潜り始めたのだ。「最後の悪あがきか!」 皇帝が何...全文を読む

▲PageTop

『じいちゃんと皇帝鯉』 第八回

じいちゃんと皇帝鯉

2010.01.30 (Sat)

 「走りすぎてもう疲れてしまったのか?」 不信感を抱きながらも、私は糸を巻き続けた。大きな黒い影が見えたと思った瞬間、また皇帝は走り始めた。 油断していた私は足を滑らせ、尻もちをつきそうになった。「危ねえ」 さすが皇帝。油断は禁物だった。体勢を立て直すと気を引き締めなおした。 ドラグが作動し、再び音を立て始めた。やはり少しは疲れているらしく、先ほどより引きは緩かった。 その後は皇帝が走り、止まると私...全文を読む

▲PageTop

『じいちゃんと皇帝鯉』 第七回

じいちゃんと皇帝鯉

2010.01.29 (Fri)

  考える間もなく反射的に竿を握った手にぐっと力を入れて、竿を立てた。 糸がピンと張ると同時に竿が重くなり、川のほうへと体が引っ張られた。足がズルズルと滑り出した。 私はしっかりと竿を握り、腰を落として踏ん張った。まるで綱引きをしているような感覚だった。気を抜くとあっという間に竿を持っていかれそうだ。 釣り糸が引っ張られる力に耐えられなくなり、ドラグがギーギーと音を立てて作動し始めた。皇帝に引っ張ら...全文を読む

▲PageTop

『じいちゃんと皇帝鯉』 第六回

じいちゃんと皇帝鯉

2010.01.28 (Thu)

  またウキが沈んだ。 私は素早く竿を立てた。今までよりは手応えがあったし、型も良かった。しかし話に聞く皇帝には到底及ばなかった。意気込みだけではどうにもならない。それが釣りの難しいところだ。「やっぱり無理か・・・・・・くそっ」 それでも諦めずに竿を振った。 焦るばかりの自分に気がつき、じいちゃんに言われたことを思い出した。「お前は焦ってばかりだな。それじゃ、大物は釣れん。もっと釣りを楽しむ気持ちがないと...全文を読む

▲PageTop

『じいちゃんと皇帝鯉』 第五回

じいちゃんと皇帝鯉

2010.01.27 (Wed)

  じいちゃん特製のネリエサを団子状にして針に付け、川の中へ投げ入れる。しばらく水に浸した後、竿を激しくあおり、針からエサを落とす。 同じ場所でこれを何度か繰り返し、幾つもの餌を川底に置き、魚を寄せてくるのだ。最後に本命を放り込んで、魚が食うのを待つ。 十五分ほどして、ウキが沈んだ。針にかかった鯉は激しく暴れ、水面を叩きはするが、皇帝ではないことは明らかだった。今まで釣り上げた鯉の反応と何も変わりが...全文を読む

▲PageTop

『じいちゃんと皇帝鯉』 第四回

じいちゃんと皇帝鯉

2010.01.26 (Tue)

  入院してから一ヶ月ほど経った頃、じいちゃんが私にぽつりと零した。「もうわしは長くないな・・・・・・」 それまで気丈に振舞っていたのか、そのときのじいちゃんはとても弱々しく見えた。「何言っているんだ。きっと元気になるよ。そしたらまた前みたいに釣りに行けるよ」 私の言葉にも静かに首を横に振った。「いいんだ。自分の体のことは自分がよく知っている」 何とかじいちゃんを励まそうと、私は頭をフル回転させた。「そっ...全文を読む

▲PageTop

『じいちゃんと皇帝鯉』 第三回

じいちゃんと皇帝鯉

2010.01.25 (Mon)

  ところが中学二年生の秋、じいちゃんが突然倒れてしまったのだ。 幸い命に別状はなかったが、診断の結果、心臓がかなり弱っており、もう長くはないと母に聞かされた。 見舞いに行くと、じいちゃんにはとても元気そうでそんな風には見えなかった。しばらく入院をして様子を見ると、母はじいちゃんには伝えていた。「釣りに行けないことが一番辛いなあ」 じいちゃんが苦笑いをした。「すぐに元気になってまた行けるようになるよ...全文を読む

▲PageTop

『じいちゃんと皇帝鯉』 第二回

じいちゃんと皇帝鯉

2010.01.24 (Sun)

  そんな名人のじいちゃんでさえ、まだ釣れない鯉がいた。 この川で釣れる鯉のサイズは平均40センチから70センチ程度だが、野生で言えば大物とまではいかず、良型と呼べるサイズだった。 もちろんそれ以上の大物もいる。私もじいちゃんが90センチオーバーを釣るのを何度か見たことがあった。 しかしそれはまだ小物に過ぎなかった。この川には更に大きい、主のような鯉が潜んでいるという。 じいちゃんはその鯉を「皇帝」...全文を読む

▲PageTop

『じいちゃんと皇帝鯉』 第一回

じいちゃんと皇帝鯉

2010.01.23 (Sat)

  それまで穏やかだった水面がほんの少しざわつき、ウキがわずかに沈んだ。じいちゃんはそれを逃さず、竿を握った手にグッと力をいれた。 激しく曲がる竿から鯉の息吹を感じ取ることができる。じいちゃんは鯉の動きに合わせて、竿を立てたり寝かせたりを繰り返した。そのやり取りは強引とは程遠く、静かに優しく、魚が抵抗をやめるのを待っているようだった。 水面がバシャバシャと音を立て始め、黒く、そして時に金色に輝く魚体...全文を読む

▲PageTop

釣り道具の簡単な説明(2)

じいちゃんと皇帝鯉

2010.01.22 (Fri)

  前回の続きです。  今回はリールの機能とウキについて説明します。  ■ベールアーム   ベールアームとはリールの部品の名称です。   針金のような部品が丸くなっているところです。  ↑ベールアームが寝た状態  この状態だと、糸がアームに引っ掛かりそれ以上は出ません。  (わかり易くするため、糸を赤で示しています)  それに対して次の写真です。 ↑ベールアームが起きた状態です。  この状態にすると糸は...全文を読む

▲PageTop

釣り道具の簡単な説明(1)

じいちゃんと皇帝鯉

2010.01.21 (Thu)

  かなり無謀ですが、釣りを題材にした小説を書こうと思っています。 釣りを知らない人にどこまで伝わるか、楽しんでもらえるか不安ですが・・・・・・。  いろいろな趣味やスポーツをテーマにした作品を書かれている人がいますよね。 楽器ですとか、野球ですとか、その場合、私に何が書けるかと言えば、 やっぱり「釣り」だったわけです。 興味のない方には全く受け入れられないかもしれませんが、試しにに書いてみることにしまし...全文を読む

▲PageTop

【独り言】訪問者数10000人オーバーしました。

独り言(雑記)

2010.01.19 (Tue)

  ありがとうございます。 タイトル通り、訪問者数10000人オーバーしました。 10000と言えば、スゴイ数ですよ。 こればかりは一人で達成できることではありません。 本当に皆様のおかげでございます。これからも精進していきたいと思います。  ところで、こうしてネット上で公開されている作品というのは 「公開しても恥ずかしくないか」 と思えるものを、私の判断で公開しているわけですが、 当然昔書いて陽の...全文を読む

▲PageTop

【独り言】ありがとう。プレイステーション。そして・・・・・・

独り言(雑記)

2010.01.18 (Mon)

  いろいろと考えた結果、プレイステーション2を処分することにしました。  面白いゲームやお気に入りのゲームがあり、私なりの思い入れがあるのでずっと置いていました。 ただ最近はやる時間がなかったのでほとんどオブジェと化していました。  何かと物を減らしたがるカミさんには、 「やらないのであれば処分したら?」 と言われていたのですが、何とか抵抗を続けて残していました。 しかし昨年の末、カミさんの言うこ...全文を読む

▲PageTop

【独り言】感想を書くのが苦手・・・・・・。

独り言(雑記)

2010.01.17 (Sun)

  最近、気づいたのですが、感想を書く(述べる)ことがとても苦手です。  これは小説に限らず、絵画、音楽、映画、写真といったものに関わらず、 旅行、建造物、庭、コンサートなども含めてです。 もちろん、何も感じないと言うわけではないです。 自分の中ではとても感動し、言葉にして誰かに伝えたいと言う気持ちは渦巻いています。 しかしいざそれを表現するとなるとうまくいかない。 ありきたりな言葉を並べ立てるのは...全文を読む

▲PageTop

【独り言】絵画の鑑賞時について考える

独り言(雑記)

2010.01.16 (Sat)

  先日、井上 雄彦さんの展示会に行った時のことです。  私と友人の後ろにはカップルがいました。 その二人が絵画を見ながら、ヒソヒソと自分の知識やら思ったことを話すのです。 合間で一言、二言話す程度なら構わないのですが、入ってから最後までずっとしゃべりっ放し。  それが耳に入ってきて、気が散って絵に集中できなかったです。 おしゃべりをしに来たのなら外でやってくれというのが正直な気持ちです。 ああいう...全文を読む

▲PageTop

『空と海』 あとがき・・・・・・と次回作について

空と海

2010.01.13 (Wed)

  さてお約束のあとがきです。 兄弟といっても様々です。 仲の良い兄弟。仲の悪い兄弟。そして前者でも後者でもなく、お互いに無関心な兄弟。  最悪なのはやはり一番最後でしょうか? 仲が悪いのもつながりの一つだと考えれば、まだマシではないでしょうか。  無関心な兄弟。 私の知る中にも二組いました。 同じ家に住んでいながら、今何をしているかも知らない。話をすることもほとんどないと言っていました。 私は兄弟...全文を読む

▲PageTop

『空と海』 最終回

空と海

2010.01.12 (Tue)

  目を開くと、僕の顔を覗き込む母が見えた。「海! 気がついたのね。あなた、海が目を覚ましたわ」 丸椅子に座って目を閉じ、腕組みをしていた父が、慌てて僕の顔を覗き込んだ。「ほっ、本当だ! いやあ、良かった」 真っ白な壁と鼻をつく薬品の匂い……ここが病院であることに間違いはない。「い、生きてる……」  今、起きている事態がすぐには理解できなかった。確か僕は死ぬはずだった……もしかるすと、兄さんが……。 母が鼻...全文を読む

▲PageTop

『空と海』 第十回

空と海

2010.01.11 (Mon)

 「これで満足か? 霧島海」 死神は振り返ることもせず、後ろに立つ僕にそう尋ねた。「……そうですね。確かに兄さんは、僕の身代わりになることを申し出ましたよね?」「うむ」「だったらそれだけで満足です」 兄さんは死んではおらず、。死神の手で現世に返されたのだ。 そして予定通り、死ぬのは僕だ。 兄さんは現世に帰ると、あの夢と同じことを体験する。つまり同僚や和美から僕がどんな人間だったか、どれだけ兄を慕ってい...全文を読む

▲PageTop

『空と海』 第九回

空と海

2010.01.10 (Sun)

  目が覚めると、ベッドではなく、俺はまた空の上にた。上半身を起こすと、目の前には死神が立っていた。「俺は……夢を見ていたのか?」 死神は静かに頷いた。「お前が弟のことをひどく誤解していたようなのでな」「じゃあ、今見た夢は本当のことなのか?」「そうだ。弟はお前を嫌ってなどいなかったのだ」 死神の言葉を聞いて、笑いが込み上げて来た。「ふっふっふっふ、はっはっはっはっは」 突然、笑い始めた俺に、死神が目を...全文を読む

▲PageTop

『空と海』 第八回

空と海

2010.01.09 (Sat)

  自己主張のために俺は変わった。 しかし海の存在が付いて回る限り、それは完全ではなかった。 嫌うことで海から離れようとした。 そのために嫌う理由を探していた。 その一つが「海とは違いすぎるから」、もう一つは「海も俺を嫌っているから」だった。  どちらもきっかけを作ったのは俺だった。海と違うようになったのは、俺が変わろうとしたからで、嫌いになろうとしたのも俺からだった。 自分の気持ちを楽にするために...全文を読む

▲PageTop

『空と海』 第七回

空と海

2010.01.08 (Fri)

  和美と別れて部屋へ戻ると、せっかく買ってきた弁当も食べないまま、ベッドに横になって物思いにふけった。 考えたのは当然、海のことだった。  俺が海を嫌い始めたのは、確か中学生になった頃だ。 幼い時から、俺と海は何をするのもいつも一緒だった。 食事をするのも、学校に行くのも、遊びにいくのも、眠るのも……。 そうするうちに、周りの人間はいつも俺たちを二人一組で扱うようになった。 俺達を呼ぶときは必ず「双...全文を読む

▲PageTop

『空と海』 第六回

空と海

2010.01.07 (Thu)

  それから一ヶ月が過ぎた。 元々、海との関わりはないに等しかったため、これといって生活が変わることはなかった。 しかし心の中に何とも言えない不快感があった。 いつの間にか変わっていた海に負けててしまったような気持ちがしていたのだ。 もう一つ思い浮かんだのは、「俺が死んだら皆あんなふうに泣いてくれるだろうか」という疑問だった。そんな女々しい考えが浮かんでくる自分も不快だった。  日曜日。 コンビニで...全文を読む

▲PageTop

『空と海』 第五回

空と海

2010.01.06 (Wed)

  会社の上司らしき男が父と母に話しているのが聞こえた。「霧島君には新しい企画のリーダーとして頑張ってもらっていたので、本当に残念です」 リーダー? アイツが? あの内気で、人の陰に隠れるのが得意な海が……。 気になった俺は、焼香を終えて帰ろうとする海の同僚に声を掛けた。「すみません」「はい?」 振り返った男の目には涙が浮かんでいた。「海の兄で、空です」「お兄さんですか……この度はお悔やみ申し上げます」...全文を読む

▲PageTop

『空と海』 第四回

空と海

2010.01.05 (Tue)

  目を開くと、俺の顔を覗き込む母が見えた。「空! 気がついたのね。あなた、空が目を覚ましたわ」 丸椅子に座って目を閉じ、腕組みをしていた父が、慌てて俺の顔を覗き込んだ。「ほっ、本当だ! いやあ、良かった」 真っ白な壁と鼻をつく薬品の匂い……ここが病院であることに間違いはない。 母が鼻をすすり、涙目で俺の手を握ってくる。こんなふうにされるのはいつ以来だろう。「心配したのよ。あなた、事故に遭って……」 母...全文を読む

▲PageTop

『空と海』 第三回

空と海

2010.01.04 (Mon)

  死神の言葉に思わず舌打ちが出た。「じゃあ、俺はまだ死ぬ予定になかったわけか?」 死神は黙って頷いた。「危うく殺されちまうところだったな。さっさと元の世界に戻してくれ」「ちょっと待て」「なんだ?」「お前は自分の弟が死ぬと聞いても何も思わんのか?」 俺には死神の言うことが理解できなかった。「別に。それがアイツの運命なら仕方ないだろう。代わりに俺が死ぬと言うとでも思ったのか?」「ふっ、弟とは仲が悪いら...全文を読む

▲PageTop

『空と海』 第二回

空と海

2010.01.03 (Sun)

  別に驚きもしなかった。さっきまでの自分の思考からすると、ここに死神がいてもおかしくはないからだ。ただ自分のイメージする死神とは少し違っていた。「死神は鎌を持った骸骨じゃないのか?」「お前たち人間の想像ではそうなっているらしいな。しかし実際は姿などない」「じゃあ、俺が見ているあんたは?」「これは仮の姿。お前たちが驚かぬよう人間の姿に合わせているだけだ。お望みなら骸骨に姿を変えても構わんがな」 冗談...全文を読む

▲PageTop

『空と海』 第一回

空と海

2010.01.02 (Sat)

  見渡す限り、どこまでも続く真っ白な世界に、俺は立っていた。 いや、どちらかと言えば、浮いているという感覚に近い。 ときどき垣間見える「青色」が空だと気がつくのに時間は掛からなかった。 ということは、この白いものは雲なのか。 じわじわと後ろへと流れていく雲に対して、俺の体はそこに留まったままだ。 俺は死んだのか。 この状況ならほとんどの人間がそう思うだろう。 覚えているのは、バイクで出勤する途中に...全文を読む

▲PageTop

【独り言】あけましておめでとうございます!

独り言(雑記)

2010.01.01 (Fri)

  あけましておめでとうございます! 毎年、元旦には違和感を覚えます。 昨日までとそれほど何かが変わったわけでもないのに、改まるというのがどうも・・・・・・。   ともあれ、新しい年がやってきました。 今年の抱負などは昨日書いたので省略します。笑。 私にとって、そして皆様にとって良いお年でありますように! 今年も私の拙い小説をよろしくお願い致します。                            ...全文を読む

▲PageTop

前月     2010年01月       翌月

Menu

最新記事

最新トラックバック

カテゴリ

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QRコード